先日、久し振りにこの二人を見に行った。
数年前、この二人のパフォーマンスを見て
ぐぐっと挽き込まれてから・・・ファンだ。
Chori・・・・詩人
童司・・・・・・・狂言師
いわゆる、コラボレーションという枠を超えてるな。
木屋町の雑居ビル・・・
そのワンフロアにあるライブハウス・・・。
ギギィーっとドアを開けて入る。
ちょっと早く着きすぎたか・・・まだ誰も来ていない。
外は今年一番の寒空で、震えながらやってきたが
ライブハウスの中も、そんなに暖房が効いている訳ではない。
上着を脱ごうか?・・・
迷ったけど、帰りの事を考えると脱いでおいた方がいいか・・・
寒けりゃスコッチを煽れば済むことだ・・・。
一番乗りなので幾つも席は空いていた・・。
ど真ん中に座る。
遠慮なく座る。
ここが一番良さそうだ・・・。
キャッシュオンデリバリーだろうな・・・・
店のスタッフは、ドリンクを聞きにくる素振りもない。
予定通り、ラフロイグのロックとピクルスを注文して
席に戻る。
退廃的なイメージの店内に、蝋燭の灯りが溶け込んでいる。
雑な造りのステージを見る。
ピアノと、木製の長いす・・・
そしてマイクが一本だけ・・・。
ラッキーストライクに火を付ける。
ZIPPOの音が、やけに大きく聴こえた。
程なく、スコッチとピクルスがやってくる・・。
でも、まだ客は来ない・・・。
スコッチを一口啜る・・・
ストレートにすれば良かったな・・・。
気付けば何人かのお客さんが入っていた。
ガヤガヤ大きな声で話す雰囲気でもない。
みんなヒソヒソと話している。
もちろん、僕も一言も話さない。
開演の時間を少し過ぎているけど、まだ始まる様子はない。
もう一口、スコッチを啜る。
ラッキーストライクに火を灯す・・・。
程なく、ステージ横のくたびれたドアが静かに開き
二人が現れる・・・。
拍手の一つも起こらない。
それでいいのだろう。
Choriが、椅子に座り唐突に話しはじめる・・・・
重いような・・・・ふわふわして浮くような・・・
そんな不思議な感覚が支配する。
オンザロックの氷の、カランという音も
ZIPPOの音も邪魔なような気がして
目の前に揺れている蝋燭の炎で、火を付ける。
ステージの様子を、携帯のカメラに収めよう・・・
なんて無粋な事は絶対にしたくない。
それから、何分のステージだったのだろう?
あっという間?
いや・・・ずいぶんと経ったかな?
演目のイメージと相まって、ハウス全体の時間軸は
止まっているような・・・・目まぐるしく回っているような・・・
はたまた、巻き戻されているような・・・。
忙しい日々・・・・
突然現れた異空間・・・・
帰り・・・寒さに震えながら
馴染みの店に立ち寄り、もう一杯スコッチを頼んだ。
今日は、もう現実だ。