私の場合、もの事は全てカタチから入ります。
一時期、競技まで出たスキー・・・・・
一生続けると誓って頓挫したフライフィッシング・・・・
いきなりゴルフスクールに通い出したゴルフ・・・・
流行りに乗って始めたダーツ・・・・
最近行ってないけど、これは一生もののビリヤード・・・・
もちろん、今も毎日弾いているギター・・・・。
すべて、いきなりからプロ仕様の道具を揃えるところから始まる。
もちろん、最初は上手くなんてできないから
初心者のくせに、道具だけ一丁前やねー・・とバカにされる。
でも、この道具を使いこなせるくらいになってやる!!
と、日々修練を積む。
で、素人が毎日使うもんやからすぐにボロボロになってくる。
しかし、元々プロ仕様の道具はモノが良いから
ボロボロでも味が出てくる。
そんな、道具が大好きだ。
見た目はボロッちいけど、切れ味抜群・・・みたいな感じ最高。
おっと・・・いつものことながら脇道に・・・。
りんだ様から、私の乱筆について言及がございましたので
ついでにそんなことを・・・・。
元々、本当に・・・それこそ本当に字が汚かった・・・。
恥ずかしいくらい・・・涙・・。
酒屋ってのは、熨斗を要求されることが多々ある。
季節の御贈答・・・お祝・・・ごあいさつ・・・・
ほぼ毎日、なにかしら毛筆を使う。
親父が亡くなるまで、熨斗は全て親父が書いていた。
決して上手い字ではなかったが、金釘流・・とでもいうのだろうか・・・
個性的な字体だった。
親父が居ない時には、お袋が書いた。
きれいな楷書を書く。
親父もお袋も居ない時は・・・・
むむぅ・・・俺だ・・・。
でも、書かない!
下手やもん!
だから、PCのソフトを使ってプリントアウトしていた。
さて、ある日・・・・
親父・・・・死んだ・・・。
お袋・・・・出かけてる・・・。
PC・・・・・故障・・・。
そんなときに限って、ものすごく怖いお得意先から
祇園にお祝を届けてくれ・・・との依頼が・・・涙・・。
どうする・・・・どうするよ・・俺・・・。
書くしかないやんけ!
筆ペンを取り出し、熨斗紙に向かう。
一生懸命・・・それこそ一生懸命書いた。
んー、我ながら上出来だ。
お酒の化粧箱に丁寧に貼り付けて、持って行った。
あくる日・・・・そのお得意先のご主人が店に飛んできた!
怖っ・・・。
俺が、一生懸命書いた熨斗を持ってる・・・
”誰や!こんな汚い字で熨斗書いたのは?!
恥かいたやないか!”
お袋が、ペコペコ謝っている・・・。
俺は、哀しくなった・・・。
その、お得意先が帰って行ったあとすぐに
印刷済みのコピー用紙を大量に用意した。
裏面に、毎日毎日・・・・
時間があれば、それこそ毎日毎日・・・
どれくらい書いたやろう?
お袋や番頭さんに呆れられるくらい・・・。
そんなんしてる暇があったら営業に行けよ・・・と。
それでも、毎日毎日・・・・
二年間くらいかな・・・ほんまに書いたよ。
お手本は、酒のラベル。
来る日も来る日も書き続けた。
お客様が熨斗を・・・というとお袋を押しのけて僕が書いた。
そしたらある日、いい字ですね・・・とおっしゃったお客様が居た!!
本当にそう思われます?
と、聞いた。
勢いがあって素晴らしい字ですよ!とおっしゃった!
マジですかぁぁぁぁ!
いきなり書家になった気分になった。
あくる日、ゴムで落款を作りに行った。
あの、どどーんと書いた書の横に、朱でつつましやかに押してある
あの落款に憧れていた。
本格的なものは恥ずかしいから、ゴム印だけど
そっと自分の書いた熨斗や、オリジナルラベルに落款を押すのは
本当に快感だ。
でも、俺の本物を求める気持ちが抑えられなくて
つい3日前に、本物の石を使った落款をあつらえた。
朱肉も、本格的な中国製の印泥だ。
ちょっと高かったけど、これは自分へのご褒美でもある。
ちなみに、こんなんです。
喫酒・・・・
酒を粋に嗜む・・・・みたいなイメージです。