先日、うちのアルバイト君のボクシングの試合があった。
まだ大学生の彼は、趣味でボクシングをやっている。
プロになろうとしているのか?
でも、就職活動してる。
いきなり、なにもかも捨ててプロボクサーを目指そう
というような、甘い世界ではないのは
縁のない僕にでも、容易に想像できる。
さて、とある日曜日のKBS京都ホール。
彼のデビュー戦の試合会場だ。
何度かボクシングの観戦には来ている。
(すべて、知りあいの試合だけど・・・)
会場に向かうタクシーの中で・・・
今頃奴は、物凄い緊張と闘ってるんやろうなぁ。
怖いんやろうなぁ・・・、と考えていた。
で、タクシーはKBSホールに到着する。
けっこう人が集まってる。
もちろん、彼を見に来たわけではないんだけど・・・。
ドアをゆっくりと押しあける・・・
そこには、まさしく四角いジャングルが存在した。
見ているこちらにも威圧感を感じる。
ここで、男たちが拳一つで闘うのだ。
どちらが強いか?!
それだけの為に・・・・。
これからリングに上がる選手の気持ち・・・・
察するに余りある・・・
そうこうしてるうちに、試合開始の時間・・・。
デビュー戦にもかかわらず、入場テーマまで用意していた!
(よく聞くPOPソングだったが、名前は忘れた・・・)
いつも小さい彼だが、いつにもまして堂々と見えた。
搾りあげた精悍な体つきだ。
リングに上がる・・・・・
笑顔も見える。
ガチガチに堅くなってる様子はない。
相手は身長のあるアウトボクサータイプだ。
一方、彼は幕の内一歩タイプのファイター。
さぁ、運命のゴング!
・・・・・試合内容・・・・
ここに文章で、書きつづれるほど軽いものではなかった。
一生懸命、拳と拳を重ね合う。
両者、大健闘だ。
両者デビュー戦。
両者初めての本気の殴り合い。
結果は、うちのバイト君の完勝!
素人の僕には危なげなく見えたが、本人は
それどころではなかっただろう。
相手も必死だから・・・。
試合後、彼に会った時・・・一言目は”勝ちました!”だった。
そのあと、間髪を入れずに”ありがとうございました!”
普段から本当に優しい彼。
二日後、バイトは休みだったけど報告に来てくれました。
”応援ありがとうございました。
おかげで勝てました!”と。
おめでとう!
よく頑張ったね。
ファイティングポーズを取ってみろ!というと
恥ずかしがっていた彼も、ぐっとポーズ。
その瞬間、表情がギュッと締まりました。
ね、優しそうな子でしょ。
”よう!チャンピオン!”とふざけて声をかけると
”とんでもない・・・・でも、少しでも上に行けたら・・と思います”
と、表情をギュっと締めて、言いました。