そう言って輝幸は、ライブウェルからバスを一匹ずつ取り出した。
そして、まるで済まなかったな・・・とでも言うように
優しく丁寧にリリースしてやった。
そして、最後の一匹をリリースして、さっと吉田の方を振り返った!
その顔は、本当に少年のような澄んだ微笑みに充ち溢れていた。
「さぁ!行こうか!
みんな、待ってる!」
溌剌とした大きな声でそう言うと、190馬力のV6を湖面に降ろし
スターターボタンを押した。
いつものカン高い音を発してスキーター吼えた。
「このボートも、もう用無しだな・・・・
帰ったら、カヌーを一台買うよ。」
そう言って、いきなりフルスロットルをくれてやった!
最後のスピードを楽しむように、彼のスキーターは
最高速で計量所に向かう。
30分後、輝幸は一番最後に計量所に姿を現した。
待ち構えていたように、プレス連中が彼をあっというまに
取り囲んだ。
「藤野さん!どうでした?今日は?!」
「藤野さん!磯村さんに勝つ自信は?!」
「藤野さん!今日は何Kgくらい釣ったんですか?!」
「藤野さん!逆転チャンピオンはあるんですか?!」
あちこちから質問が矢継ぎ早に攻めてくる・・・
輝幸は、連中の質問を両手を大きく振りかざしてさえぎり・・・
そして、屈託のない、大きな明るい声で堂々と言い放った!
「ノーフィッシュさ!」
NO-FISH・過去記事
連載小説 ”NO-FISH”|
1:第一章 プロローグ|
2:|
3:第二章 デビュー|
4:|
5:|
6:|
7:|
8:|
9:|
10:|
11:|
12:|
13:|
14:|
15:第三章 ミラクルバシング|
16:|
17:第四章 ライトゲーム|
18:|
19:|
20:|
21:|
22:|
23:|
24:|
25:|
26:|
27:|
28:|
29:|
30:|
31:第五章 ハイテク バシング|
32:|
33:|
34:|
35:|
36:第六章 リトルアングラー|
37:|
38:|
39:第七章 老人|
40:|
41:|
42:|
43:第八章 迷い・・・・|
44:|
45:|
46:|
47:|
48:|
49:|
50:|
51:第九章 フロック?|
52:|
53:|
54:|
55:|
56:|
57:|
58:|
59:|
60:|
61:|
62:|
63:|
64:|
65:第十章 最後の決戦|
66:|
67:|
68:|
69:十章 第二節 プレッシャー|
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71:|
72:|
73:|
74:|
75:|
76:|
77:|
78:|
79:|
80:|
81:十章 第三節 懐かしいパワー|
82:|
83:|
84:|
85:十章 第四節 スーパーランカー|
86:|
87:|
88:|
89:|
90:|
91:|
92:|
93:|
94:|
95:最終章 ノーフィッシュ|
96:|
97:|
98:最終話|
99:あとがき|
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