「俺は二か月前・・・死んだ親父の友人だっていう
老釣り師に言われたんだ・・・・・
お前は魚が見えていない、機械ばかり見えているだけだってね。
この二ヶ月間、俺はそれを否定するのに必死だった。
その言葉とずっと闘ってきたんだ。
俺はプロだ!
機械を使ってでも、釣ってナンボの釣り師だ!
って、自分自身に言い聞かせてきたんだ。
・・・でも、今やっと解った・・・・
俺は、彼らをただ傷つけていただけなんだって・・・・。
魚探を使って、住み家を暴いて苦しめていただけだったって・・・
俺は小さい頃、魚と話す事ができた・・・
嘘じゃない!本当さ!
魚が、ここに居るぞ!釣れるなら釣ってみろ!
そう言っていたんだよ。
でも、今まで一匹だって魚を殺した事なんてなかった。
でも、バスプロになってからは、彼らを釣ってはこんな
ライブウェルに入れて、秤に乗せて・・・・・
それで、金をもらってたんだ・・・
楽しんで釣りをしたことなんてなかったんだよ・・・。
ライブウェルに入れて、秤にかけた後でバスはどうなると思う?
生きて湖に返すけど、そいつらはしばらく餌を獲らないんだ。
そこで、成長が止まってしまうバスもいるんだ。
そんな事、今まで気にしたこともなかった。
ただ、チャンピオンの名誉が欲しいだけで、バス達を苦しめていたんだ。
この琵琶湖でさえ、ましてや小さな湖じゃバスの成長は
すごく遅くなってきているって話だ・・・。
それはみんな、俺達トーナメントバサーのせいかも知れない・・・
俺は、本当に釣りが好きなだけなんだ。
バスにプレッシャーをかけたくないんだよ。
自然に抱かれて、バスと知恵比べをする・・・
そんな釣りが大好きなんだ。
釣れなきゃ釣れないでいい・・・
ただ、楽しみたいんだ。
この世界に入って、本当の釣りを忘れてしまったみたいだ・・・。
これでいいんだ・・・これで・・・・」
NO-FISH・過去記事
連載小説 ”NO-FISH”|
1:第一章 プロローグ|
2:|
3:第二章 デビュー|
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8:|
9:|
10:|
11:|
12:|
13:|
14:|
15:第三章 ミラクルバシング|
16:|
17:第四章 ライトゲーム|
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26:|
27:|
28:|
29:|
30:|
31:第五章 ハイテク バシング|
32:|
33:|
34:|
35:|
36:第六章 リトルアングラー|
37:|
38:|
39:第七章 老人|
40:|
41:|
42:|
43:第八章 迷い・・・・|
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45:|
46:|
47:|
48:|
49:|
50:|
51:第九章 フロック?|
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65:第十章 最後の決戦|
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69:十章 第二節 プレッシャー|
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81:十章 第三節 懐かしいパワー|
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84:|
85:十章 第四節 スーパーランカー|
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93:|
94:|
95:最終章 ノーフィッシュ|
96:|
97:|
98:最終話|
99:あとがき|
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