こんな、予想もつかないような突然の抵抗にも
輝幸はまるで分かっていたかのように対応した。
ロッドを左手から右手に持ち換え、デッキの反対に
素早く移動して、難なくその反撃をかわす。
しかし、エレクトリックモーターやエンジンを湖に降ろしていたら
今の攻撃で、一発でバラシていたことであろう。
一瞬ヒヤリとした輝幸であったが、彼はまるで奴の抵抗を
心底楽しんでいるように見えた。
もっと暴れてくれ・・・と言わんばかりであった。
しかし、残念ながら?・・・今の攻撃が最後の抵抗だった。
いよいよ奴の姿が浮かび上がってきた。
ギラリと横っ腹を見せて、初めて輝幸の目の前に
その姿を見せたそのモンスターは、一目で65cmは
超えているだろう、まさしくキングと呼ぶにふさわしい
堂々とした体躯であった。
今まで、何本ものルアーを引きちぎって来たのであろう・・・
その体には幾つもの傷があったが、それはその堂々とした
魚体を際立たせる以外の何ものでもなかった。
力尽き、潔く寄せられてくるその姿には、惨めさや
弱さなど、微塵も感じられなかった。
その目は、まさに野獣のように光を失ってはいない。
今まで、全身全霊をかけてかけて闘ってきた輝幸を
尊敬のまなざしで見ているようでさえあった。
輝幸はそれに応えるかのように・・・まるで我が子を見るような
優しい眼差しで見つめ返していた・・・。
NO-FISH・過去記事
連載小説 ”NO-FISH”|
1:第一章 プロローグ|
2:|
3:第二章 デビュー|
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5:|
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7:|
8:|
9:|
10:|
11:|
12:|
13:|
14:|
15:第三章 ミラクルバシング|
16:|
17:第四章 ライトゲーム|
18:|
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20:|
21:|
22:|
23:|
24:|
25:|
26:|
27:|
28:|
29:|
30:|
31:第五章 ハイテク バシング|
32:|
33:|
34:|
35:|
36:第六章 リトルアングラー|
37:|
38:|
39:第七章 老人|
40:|
41:|
42:|
43:第八章 迷い・・・・|
44:|
45:|
46:|
47:|
48:|
49:|
50:|
51:第九章 フロック?|
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56:|
57:|
58:|
59:|
60:|
61:|
62:|
63:|
64:|
65:第十章 最後の決戦|
66:|
67:|
68:|
69:十章 第二節 プレッシャー|
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71:|
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73:|
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77:|
78:|
79:|
80:|
81:十章 第三節 懐かしいパワー|
82:|
83:|
84:|
85:十章 第四節 スーパーランカー|
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88:|
89:|
90:|
91:|
92:|
93:|
94:|
95:最終章 ノーフィッシュ|
96:|
97:|
98:最終話|
99:あとがき|
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