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こんな、予想もつかないような突然の抵抗にも
輝幸はまるで分かっていたかのように対応した。
ロッドを左手から右手に持ち換え、デッキの反対に
素早く移動して、難なくその反撃をかわす。
しかし、エレクトリックモーターやエンジンを湖に降ろしていたら
今の攻撃で、一発でバラシていたことであろう。

一瞬ヒヤリとした輝幸であったが、彼はまるで奴の抵抗を
心底楽しんでいるように見えた。
もっと暴れてくれ・・・と言わんばかりであった。

しかし、残念ながら?・・・今の攻撃が最後の抵抗だった。

いよいよ奴の姿が浮かび上がってきた。
ギラリと横っ腹を見せて、初めて輝幸の目の前に
その姿を見せたそのモンスターは、一目で65cmは
超えているだろう、まさしくキングと呼ぶにふさわしい
堂々とした体躯であった。

今まで、何本ものルアーを引きちぎって来たのであろう・・・
その体には幾つもの傷があったが、それはその堂々とした
魚体を際立たせる以外の何ものでもなかった。

力尽き、潔く寄せられてくるその姿には、惨めさや
弱さなど、微塵も感じられなかった。

その目は、まさに野獣のように光を失ってはいない。
今まで、全身全霊をかけてかけて闘ってきた輝幸を
尊敬のまなざしで見ているようでさえあった。

輝幸はそれに応えるかのように・・・まるで我が子を見るような
優しい眼差しで見つめ返していた・・・。


2008年9月24日(水)

NO-FISH・過去記事
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