気付いてみると、ラインはほとんど巻き取られ
あと10数メートルを残すのみとなった。
奴は、ほぼボートの真下まで寄ってきていた。
しかし、ここで油断して泣いたバサーが何人いるだろう・・・
まだまだ奴は、力を残しているはずだ。
虎視眈眈とチャンスを狙っているはずだ。
少しでも気を抜けば、ぶっつりとやられるに違いない。
輝幸にとっても、奴にとっても一番辛い時間である。
しばらくの間、巻きもしない・・・引かれもしない時間が続く。
同船の吉田も、じっと息をこらして見つめるのみであった。
だが・・・只ロッドを持って耐えているだけではなかった・・・
色々な思い、駆け引きが一本のラインを通して
輝幸と奴の間で、激しく行き来していた。
その、緊張極まりない沈黙を突然破ったのは
やはり奴の方であった。
奴は、ボートの真下をくぐり反対側へ走り出したのである!
なんという頭の切れる奴であろうか!
ラインをボートに引っかけて切るつもりだ。
NO-FISH・過去記事
連載小説 ”NO-FISH”|
1:第一章 プロローグ|
2:|
3:第二章 デビュー|
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5:|
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8:|
9:|
10:|
11:|
12:|
13:|
14:|
15:第三章 ミラクルバシング|
16:|
17:第四章 ライトゲーム|
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22:|
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24:|
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27:|
28:|
29:|
30:|
31:第五章 ハイテク バシング|
32:|
33:|
34:|
35:|
36:第六章 リトルアングラー|
37:|
38:|
39:第七章 老人|
40:|
41:|
42:|
43:第八章 迷い・・・・|
44:|
45:|
46:|
47:|
48:|
49:|
50:|
51:第九章 フロック?|
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65:第十章 最後の決戦|
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69:十章 第二節 プレッシャー|
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79:|
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81:十章 第三節 懐かしいパワー|
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85:十章 第四節 スーパーランカー|
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91:|
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94:|
95:最終章 ノーフィッシュ|
96:|
97:|
98:最終話|
99:あとがき|
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