少しずつではあるが、巻く事ができるほどになってきていた。
下へ下へ潜るのは、奴にとっても苦しいはずである。
横に走ることが、少し弱ってきている証拠である。
引く力も、先程より数段弱くなっている。
あと少しだ!
その事は、隣の吉田にもわかったようだ。
「藤野・・・奴はだいぶ弱ってきてるな!
かれこれ30分近くなるぜ。
こりゃ、逆転優勝どころか日本一のスーパーバスに違いない。
おい、藤野!聞いてるのか!
チャンピオンバスだぞ!」
輝幸の頭の中は、空っぽだった・・・
ただ、神経だけが奴とつながっていた。
吉田のそんな言葉も、まるっきり耳に入らなかった。
歯を食いしばり、額に汗して、腕の筋肉をつっぱらして
必死に奴の引きに耐えていたが、その瞳はどこまでも澄みわたり
なにかトロンとして、夢を見ているようであった。
それは、まさに彼の少年時代の瞳であった。
NO-FISH・過去記事
連載小説 ”NO-FISH”|
1:第一章 プロローグ|
2:|
3:第二章 デビュー|
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5:|
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7:|
8:|
9:|
10:|
11:|
12:|
13:|
14:|
15:第三章 ミラクルバシング|
16:|
17:第四章 ライトゲーム|
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20:|
21:|
22:|
23:|
24:|
25:|
26:|
27:|
28:|
29:|
30:|
31:第五章 ハイテク バシング|
32:|
33:|
34:|
35:|
36:第六章 リトルアングラー|
37:|
38:|
39:第七章 老人|
40:|
41:|
42:|
43:第八章 迷い・・・・|
44:|
45:|
46:|
47:|
48:|
49:|
50:|
51:第九章 フロック?|
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53:|
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55:|
56:|
57:|
58:|
59:|
60:|
61:|
62:|
63:|
64:|
65:第十章 最後の決戦|
66:|
67:|
68:|
69:十章 第二節 プレッシャー|
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71:|
72:|
73:|
74:|
75:|
76:|
77:|
78:|
79:|
80:|
81:十章 第三節 懐かしいパワー|
82:|
83:|
84:|
85:十章 第四節 スーパーランカー|
86:|
87:|
88:|
89:|
90:|
91:|
92:|
93:|
94:|
95:最終章 ノーフィッシュ|
96:|
97:|
98:最終話|
99:あとがき|
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