何メートルほど巻いたであろう・・・・。
湖に沈みこむラインの角度から、だいぶ近くまで寄ってきている
事は確かなのだが、その割にそれほど巻けていないところをみると
やはり、奴は相当深くまで潜っているようだ・・・。
輝幸の額からは、どっと汗が噴き出ていた。
その唇は白く渇き、ひび割れてしまっていた。
ロッドを支える左手の筋肉は、ギシギシと悲鳴を上げ
パンパンに張っていた。
ハンドルを巻く右手は、摩擦で血だらけであった。
疲れきってはいたが、その神経はナイフの様に
研ぎ澄まされていた。
何メートルか下で奴が、じっとこちらを見ているような気がした。
「来るっ!」
そうつぶやいて、ぐっと体を強張らせた瞬間・・・・・
奴は、猛烈な勢いで横に走り始めた!。
ロッドアクションだけでは、とうてい追いつけない・・。
すかさずドラグを緩める。
血でドラグのハンドルが滑る・・・。
ジャー、という音と共にラインがみるみる出て行く。
さっき稼いだ三分の一も引っ張り出されてやっと止まった。
その位置で留まりながらも、引っ張る力は尋常ではなかった。
グングンとロッドをしならす・・・。
NO-FISH・過去記事
連載小説 ”NO-FISH”|
1:第一章 プロローグ|
2:|
3:第二章 デビュー|
4:|
5:|
6:|
7:|
8:|
9:|
10:|
11:|
12:|
13:|
14:|
15:第三章 ミラクルバシング|
16:|
17:第四章 ライトゲーム|
18:|
19:|
20:|
21:|
22:|
23:|
24:|
25:|
26:|
27:|
28:|
29:|
30:|
31:第五章 ハイテク バシング|
32:|
33:|
34:|
35:|
36:第六章 リトルアングラー|
37:|
38:|
39:第七章 老人|
40:|
41:|
42:|
43:第八章 迷い・・・・|
44:|
45:|
46:|
47:|
48:|
49:|
50:|
51:第九章 フロック?|
52:|
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59:|
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62:|
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65:第十章 最後の決戦|
66:|
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68:|
69:十章 第二節 プレッシャー|
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79:|
80:|
81:十章 第三節 懐かしいパワー|
82:|
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85:十章 第四節 スーパーランカー|
86:|
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90:|
91:|
92:|
93:|
94:|
95:最終章 ノーフィッシュ|
96:|
97:|
98:最終話|
99:あとがき|
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