夢のような時間から、帰ってまいりました。
こんな前振りで、現実に戻って来た・・・・
と書くと、現実を否定して夢の世界に逃亡し
その夢が覚めて、つまらない現実に逆戻り・・・・
みたいな、物語に聞こえますが・・・・
そうじゃございません。
ただ、あまりにも強烈な夢だったもので・・・。
さて、今回もウドンの話・・・・。
その夢のライブの当日、仲間のギタリストと
いつもの立ち食いソバ屋に行こうね・・・て話してたんだけど
結局バンド単位の時間の都合があって、叶いませんでした。
ごめんね、約束してたのに・・・・
で、昨日・・・・仕事を抜け出して独りウドン喰いに行ってきた。
以前書いたけど、ここのおばちゃんとは何も話さない。
ただ、売買のやりとりがあるだけ・・・。
しかし!!!!!
昨日、嬉しい変化が・・・・。
いつもとおり、”きつねうどん 小 揚げ2枚”とオーダーする・・・
すると、出てきたのがこちら・・・・もちろん無言で・・・・
・・・・で、こちらが今まで出てきた”きつねうどん 小 揚げ2枚”・・・・
何がちゃうねん・・・・って器の色がちゃうねん!
・・・・なんや、そんなことかいな・・・と思うなかれ!!!!
この黒い器は、特別な器なのでございますよ!!
こ、この器は・・・400円以上の品にだけ使う事が許される
プレミアムウツワなのですよ!
しかし!”きつねうどん 小 揚げ2枚”は290円・・・・・
・・・ということは、俺はついに・・・ついに常連と認められたのか?
おばちゃんと楽しくしゃべる、タクシーの運ちゃんと、ついに肩を並べたのか?!
いや・・・・・そんなことはない!
おばちゃん、間違えただけかもしれへん・・・。
ぬかよろこびはアカン・・・
で、いてもたってもいられなくて・・・
今日また行ってきた!
暖簾をぐっとくぐる・・・・・
いた!いつものおばちゃんや・・・・
めっちゃ緊張してきた!
おばちゃんと目をあわすことなく、平静を装い
”きつねうどん 小 揚げ2枚”と、わざとぶっきらぼうに言ってみる。
いつものように、無言のまま麺を取り出すおばちゃん・・・・
釜に放り込む・・・・・。
湯がく時間はほんの数秒だ・・・。
しかし、時間が止まったように感じる・・・・・
釜からザルを上げ、一回・・・二回と湯きりするおばちゃん・・・
いよいよだ、いよいよおばちゃんの手が器に伸びる・・・・
向って右手には、いつもの白い器・・・・
そして、おばちゃんから見て手前・・・・向って左手にはあの
憧れの”黒い器”が・・・・・。
おばちゃんの手が、すっと白い器の方に伸びる・・・・
嗚呼・・・・やっぱり・・・・。
と思った刹那・・・・。
すこし迷ったおばちゃんの手は、たしかに少し戻って
黒い器に手をかけた!
そして、おもむろに取り上げ・・・どさっとウドンを放り込んだ!
嗚呼・・・・なんていう快感。
なんという優越感・・・。
他の人は、400円以上の注文をしないと使ってもらえないあの黒い器を
おれは、290円の”きつねうどん 小 揚げ2枚”で使っている。
周りの人からは、
”おっ、あの人は400円以上のうどんを注文しゃはったんや”
と、羨望のまなざしで見られることであろう!
嗚呼・・・・・なんも言えねえ・・・・。
涙なのか、ウドンの湯気なのか・・・・・見慣れたメニューが
霞んで見えるぜ!
おばちゃん、ありがとう。
俺は、いつものように御馳走さん・・・・と無愛想に言い捨てて
暖簾をくぐった・・・・
おばちゃん・・・・ほんとうにありがとう!