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それを見た同船のプレス吉田は、
「何をする気だ!
 あと一時間半あるじゃないか!
 今のあんたの成績じゃ逆転チャンピオンは無いんだぜ!
 こんないいポイントは滅多にない!
 このポイントで粘ってみるべきだ!
 もう、諦めるのか!?」

・・・その声も、まるで耳に入らないかのように黙ってアイドリングさせながら
輝幸は周りの山々を見まわした。
その目は少年のそれのように、澄んだ輝きを帯びていた。

そして、山と山が少し重なり合って湖の方向に伸びている尾根を見つけた。
絶妙な距離で湖に向かって稜線が沈み込んで行っている。

輝幸はその方向にぐっとハンドルを切って
いきなりフルスロットルをくれてやった!

準備の出来ていなかった吉田は、危うく振り落とされそうになったが
なんとかシートにしがみついた。

ワームケースが一個と、スピニングロッドが一本吹っ飛んで行った!
それでもお構いなしに突っ走る!
まさに荒馬の如く・・・・・。


2008年9月 6日(土)

NO-FISH・過去記事
連載小説 ”NO-FISH”1:第一章 プロローグ2:3:第二章 デビュー4:5:6:7:8:9:10:11:12:13:14:15:第三章 ミラクルバシング16:17:第四章 ライトゲーム18:19:20:21:22:23:24:25:26:27:28:29:30:31:第五章 ハイテク バシング32:33:34:35:36:第六章 リトルアングラー37:38:39:第七章 老人40:41:42:43:第八章 迷い・・・・44:45:46:47:48:49:50:51:第九章 フロック?52:53:54:55:56:57:58:59:60:61:62:63:64:65:第十章 最後の決戦66:67:68:69:十章 第二節 プレッシャー70:71:72:73:74:75:76:77:78:79:80:81:十章 第三節 懐かしいパワー82:83:84:85:十章 第四節 スーパーランカー86:87:88:89:90:91:92:93:94:95:最終章 ノーフィッシュ96:97:98:最終話99:あとがきNO-FISH