← 81:十章 第三節 懐かしいパワー | fish | 83: →
そんな事を想い出していると、今度はあの老釣り師の言葉が
頭に浮かんできた・・・・
「お前の眼に映っているのは魚じゃない・・・
その魚探のスクリーンだけだ。
本当の自分を見つめなおせ。
釣りの好きだったあの頃の自分を思い出せ。
そうすれば、いろんな物が見てくる。」
その時輝幸は、周囲の山々の様子・・・
湖面の波の様子・・・
吹く風の様子・・・・
肌に感じる空気の匂い・・・
そんな、ナチュラルな感覚をいっぺんに感じる事が出来た。
機械にしか向けられていなかった心が、ぐんぐん外に向けて
放出されてくる感覚・・・・・
同時に、自然界のありとあらゆる要素が、体の中に
取りこまれていく感覚・・・・
輝幸は、大きく大きく深呼吸した・・・。
そして、手をひろげぐるっと360度見渡した・・・・。
懐かしい感覚がぐんぐん蘇ってくる。
その目は、少年のそれのように輝き、頭の中は
打算や駆け引きなどない、純粋に湖と・・・
そして魚と向き合う心しか宿っていなかった。
輝幸は静かに魚探のスイッチを切った。
そして、エレクトリックモーターを湖面から引き上げた。
ゆっくりとコクピットに座ると、195馬力のモンスターに
火を入れた。
NO-FISH・過去記事
連載小説 ”NO-FISH”|
1:第一章 プロローグ|
2:|
3:第二章 デビュー|
4:|
5:|
6:|
7:|
8:|
9:|
10:|
11:|
12:|
13:|
14:|
15:第三章 ミラクルバシング|
16:|
17:第四章 ライトゲーム|
18:|
19:|
20:|
21:|
22:|
23:|
24:|
25:|
26:|
27:|
28:|
29:|
30:|
31:第五章 ハイテク バシング|
32:|
33:|
34:|
35:|
36:第六章 リトルアングラー|
37:|
38:|
39:第七章 老人|
40:|
41:|
42:|
43:第八章 迷い・・・・|
44:|
45:|
46:|
47:|
48:|
49:|
50:|
51:第九章 フロック?|
52:|
53:|
54:|
55:|
56:|
57:|
58:|
59:|
60:|
61:|
62:|
63:|
64:|
65:第十章 最後の決戦|
66:|
67:|
68:|
69:十章 第二節 プレッシャー|
70:|
71:|
72:|
73:|
74:|
75:|
76:|
77:|
78:|
79:|
80:|
81:十章 第三節 懐かしいパワー|
82:|
83:|
84:|
85:十章 第四節 スーパーランカー|
86:|
87:|
88:|
89:|
90:|
91:|
92:|
93:|
94:|
95:最終章 ノーフィッシュ|
96:|
97:|
98:最終話|
99:あとがき|
NO-FISH