81:十章 第三節 懐かしいパワー

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輝幸は、先ほどの45cmでかなり精神的に楽になっていたが
総合チャンピオンを獲得するには、絶対に50オーバー・・・・
いや55オーバーが必要だ。

しかし、55オーバーとなると狙って釣れるものではない。
ここ琵琶湖でさえ、めったに釣れるサイズじゃないのである。

・・・・輝幸は、いよいよ追い詰められた・・・・・
・・・・あと、一時間半・・・・

魚探のスクリーンとにらめっこをして、あらゆるポイントを探しまくった。
ただ、闇雲に・・・・・

しかし、ここだ!と思えるポイントはそうあるものではない。
まして、最新式とはいえ魚探の見える範囲など知れている・・。

さらにイライラして、頭が混乱して・・・・・
ええぇーい、もうどうにでもなれ!!

・・・と思った瞬間・・・・・・
ふっと、頭に何かが走った!・・・・

親父の声が聞こえたような気がした・・・・
懐かしい声を聞いたような気がしたのだ・・・・

同時に鮮やかに少年時代の事を思い出していた。
まだガキだった・・・・
純粋に釣ることそのものを、心底楽しんでいたあの頃・・・・

今日はこれだけ釣らなければ・・・などというプレッシャーなど微塵もない。

輝幸は、本当に釣りが好きな少年だった。


2008年9月 4日(木)

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