しかし、そのポイントにはすでにライバルが先に入っていた。
磯村である・・・。
磯村も同じく、浮いている障害物の真下に付いている
バスを狙っていたのである。
輝幸はエンジンを切って、静かに・・・なるべく遠くを廻って
通り過ぎた。
乱暴にエンジンを吹かして邪魔をしたりなどということは
絶対にしなかった。
それは、彼のちっぽけなプライドでもあった。
磯村は、こちらに気づいたらしくチラリと振り返った。
すこし首をカクンと曲げて、ニコっと微笑んできた。
その表情には、明らかに余裕が感じられた。
輝幸は固い表情のままじっと見返すのみであった。
磯村は別に気にした様子もなく、また自分のルアーの方に見返った。
なんとなく惨めな気持ちで暫く彼のボートを見ながらエレキを回し
少し離れてから、静かにエンジンをかけた。
なにやらエンジンの音まで輝幸をバカにした様な
吹け上がらない、情けない音を出していた・・。
NO-FISH・過去記事
連載小説 ”NO-FISH”|
1:第一章 プロローグ|
2:|
3:第二章 デビュー|
4:|
5:|
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7:|
8:|
9:|
10:|
11:|
12:|
13:|
14:|
15:第三章 ミラクルバシング|
16:|
17:第四章 ライトゲーム|
18:|
19:|
20:|
21:|
22:|
23:|
24:|
25:|
26:|
27:|
28:|
29:|
30:|
31:第五章 ハイテク バシング|
32:|
33:|
34:|
35:|
36:第六章 リトルアングラー|
37:|
38:|
39:第七章 老人|
40:|
41:|
42:|
43:第八章 迷い・・・・|
44:|
45:|
46:|
47:|
48:|
49:|
50:|
51:第九章 フロック?|
52:|
53:|
54:|
55:|
56:|
57:|
58:|
59:|
60:|
61:|
62:|
63:|
64:|
65:第十章 最後の決戦|
66:|
67:|
68:|
69:十章 第二節 プレッシャー|
70:|
71:|
72:|
73:|
74:|
75:|
76:|
77:|
78:|
79:|
80:|
81:十章 第三節 懐かしいパワー|
82:|
83:|
84:|
85:十章 第四節 スーパーランカー|
86:|
87:|
88:|
89:|
90:|
91:|
92:|
93:|
94:|
95:最終章 ノーフィッシュ|
96:|
97:|
98:最終話|
99:あとがき|
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