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このバラシで輝幸は、完全にリズムを失ってしまった。

焦って同じポイントにキャストするが
キャストミスで大きな音を立ててしまった。
着水してからもチグハグなリーリングで
全くバスを誘えるようなアクションは付けられなかった。

そのポイントをあっさり諦め、乱暴にエンジンをかけて
必要以上に猛スピードで他の場所に移動しても
結果は同じだった・・・・。

どんなに場所を変えても、バラバラのリズムでルアーを引いたって
アピールできるはずがない・・・・。
だだ引きできるバイブレーションプラグでさえも
そんなに甘いものではなかった・・・。
単調なウォブリングアクションに喰いついてくるのは
30cm前後のヤングバスばかりであった。
好奇心旺盛なヤングバスは、条件さえ揃えば
そんなルアーにでも喰いついてくる。

・・・今やそんなバスにしか輝幸のルアーは
相手にされない・・・ということだ・・・・。

一方の磯村省吾であるが・・・・・

彼もまた、苦戦を強いられていた。

彼はベテランであるが故に、考え過ぎていたのである。
パターン・システムに固執するあまり、
単純な基本を忘れてしまっている様であった。

あまりにも好条件が揃い過ぎて、魔が差したとしか言いようがなかった。

同じく彼もリズムを狂わせていた一人だったのだ。


2008年7月19日(土)

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