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「そのエリには、まだまだバスが付いてますよ。
 50オーバーを2本獲られたのは確かに見事ですが
 あなたは、わかっちゃいない。
 攻め方を変えれば、あそこにいるバスを根こそぎ獲れますよ。
 なんなら僕がお教えします。
 これでもバスプロなんですよ、俺・・・」

輝幸は、今離れてはもったいない・・・・
と思わず老人に話しかけてしまったのである。

老人は、ニッコリ微笑んで答えた。
「あぁ、知ってるよ。
 あんた、藤野輝幸だろ。
 今年からバスGPに参戦してる・・・・
 そのスゴいボートを見りゃ分かるよ」

「知ってらしたんですか・・・ありがとう。
 なら話は早い!
 さあ!早くエリに戻って・・・
 アドバイスしますよ!」

「いや・・・いいんだよ・・・
 私はあの二匹だけで十分満足だ。
 自分が楽しめたら、それでいいんだよ。
 自然に抱かれて、こうやって静かな湖面に浮かんで
 魚と遊ぶのが好きなだけなんだ。
 根こそぎ釣ろうなんて考えちゃいないんだ・・・。」

「そんな良い腕していて勿体ない。
 バスなんて、釣って釣って釣りまくらなきゃ!
 俺は、バスを釣ってナンボのバスプロだからね」

「お前の親父もそうだったよ・・・・」

「えっ、あなた・・・・
 俺の親父を知ってるのかい?・・・・・」


2008年7月 7日(月)

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