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幼い頃の輝幸は、本当に釣りが好きな少年だった。

バスフィッシングを始めたのは中学に入ったばかりの頃だったが
小さい頃から、フナやジャコやモロコなんかをよく釣りに行った。

釣り仲間の中でも輝幸は、飛びぬけて上手だった。
彼が釣りに行って”坊主”(ノーフィッシュ)なんて事は
あり得なかった。

友達が全く釣れないでいると、ちょこちょこっと寄ってきて

「ほら、そんなところに魚は居ないよ!
 あっちに居るんだ!
 さぁ、あっちに投げてみな!」

そういうと、必ずその場所で釣れた。

輝幸はいつもみんなにこう言っていた。

「俺には魚が見えるのさ!
 見えない時には、父ちゃんが教えてくれる・・・
 目をつぶると父ちゃんの声が聞こえてくるんだ・・・
 だから釣れるのさ!」


2008年7月 4日(金)

NO-FISH・過去記事
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