世界の男

木村義一・・・・・・

この名前を御存じでしょうか・・・。

ビリヤードをする人の間では、知らない人の方が少ないでしょう。

アーティスティックビリヤードの第一人者にして
世界のキムラとして、日本国内だけでなく
全世界に名を知られる男です。

四条通りから一本裏に入った細い路地にひっそりと建つ
”ビリヤード白ばら”・・・・
そこの店主にして、ビリヤードの世界で世界にまで上り詰めた男です。

大学生のころから通い、もう何年になる?
木村プロは、御歳75歳・・・。
しかし、今だにそのキュー切れは素晴らしく
よく一緒に撞かせていただくが、その年齢は一切感じさせない。

酒は一滴も飲まないが、煙草は一箱吸う。
ポテトチップスとコカコーラを愛する。
でも、体の不具合は一切ない・・・。

世界に行く男は、体のつくりも常人とは違うようだ・・・。

そんな、僕のかけがえのない場所”白ばら”が閉店した。
いつかは・・・・と思っていた。
昨日だ・・・・・。

お別れの会を催してもらった。
常連が集まり、いつもの雰囲気で楽しく過ごす・・・。
でも、皆なにかしら寂しそうだ。

花束をマスターと奥様に渡す・・・・
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奥様がいらっしゃらなかったら、この白ばら・・・いや木村プロも
今の地位を築けなかっただろう。
常連の面倒を見、(本当に面倒を見てもらった・・・・)
常連の相談に本当に親身になって乗ってくれた。

白ばらの名物に、8時になったら誰もいなくなる・・・というのがある。
8時になったら、奥様がご飯を作ってくれる。
常連が、ぞろぞろと奥へお邪魔する。
マスターを囲み、皆で食事する。
毎日だ。
毎日毎日、常連にご飯を食べさせてくれる。

初めて行った時、おかしな光景やな・・・と思った。
通い出して、ひと月・・・ふた月と経って
”藤井さんもよかったら入りなさいな”と言ってもらった。
内心めっちゃ嬉しかった。
俺も常連と認めてくれたんや!と・・・

でも、頑なに断ってた。
だって、玉突きに来てんのにご飯よばれるって・・・。

でも、一度頂いてからは・・・・・
そう、毎日のように通い詰めては、ご飯を食べさせてもらって
あーでもない、こーでもないと、たわいもない話を繰り返し、
また、フロアに戻って玉を突く・・・。

こんな店ありえへん・・・。

でも、それが普通になっていた。

それほど、奥様の人柄がナチュラルで素敵だ。

その”白ばら”が無くなった・・・・。

仕方ない・・・・仕方ないんだ・・・・。

常連を代表して、一番弟子が送辞を読み上げる。
泣いてしまうやんけ・・・。

ビデオレターが届けられていた。
そうそうたる人からのメッセージだ。
あの、堺正彰さんからも直々にとどいていた。

改めてすごい人なんやなぁ・・・。

堺さんのメッセージは
”白ばらは閉店しますが、木村さんは閉店しません!”と
括られていた。

そのとおりだ!

マスター、これからもお元気で御活躍されることでしょう。
TVの仕事。
他のプロの店でのアーティスティックの披露。
トーナメントのエキシビジョン。

なにより、電話で誘い出して一緒に玉突きに行ってもらいますよ。

木村プロ、お母さん・・・・
お疲れ様でした。
ありがとうございました。

いつまでもいつまでもお元気で!
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2008年6月29日(日)