そうこうしているうちに、もうスタートの時間だ。
輝幸は、アイドリングもいい加減にして
強引にボートをスタートさせた。
他のボートよりも一段とカン高い咆哮を響かせて
彼のスキーターはすっ飛んで行った。
なにせ175馬力のモンスターである。
マックススピードは、他のどのボートにも負けていない。
あらかじめプラクティスで決めておいたポイントに到着した輝幸は
まず、得意のクランクベイトを手にした。
昨日のプラクティスで、この付近で40cmクラスを獲っている。
朝一番に、一番良いポイントに行くのはトーナメントの鉄則だ。
輝幸は、最も得意とするあのDB??ではなく
よりアピール度の高い”ディープショット”をチョイスしていた。
水深6m以上をカバーするそのクランクベイトは
派手なラトルサウンドで周囲のバスに強烈にアピールするので
パイロットルアーとして彼は、このディープショットを多用する。
ボートに膝をついて、ロッドを水中に突っ込んでルアーを引く
”ニーリング”というテクニックで、確実に6m以上の深度を保つ。
三投目で32cmが釣れて、なかなかいいぞ・・と思ったのも束の間
後が全く続かなかった。
ワームに換えても、他のいろいろなルアーを試してみても
全く駄目・・・・
前回の河口湖と同じようなパターンである。
ノンキーパーばかりが、彼のルアーを追ってくる。
たまに混じるキーパーも、30cmギリギリの小バスばかりだ・・・。
それでも、数釣るなかで30cm以上を5匹というリミットは
午後3時までかかってやっと達成できた。
しかし、上位入賞するためには何としても40cmオーバーが必要だ。
焦れば焦るほど時間ばかりが経って行く。
磯村はどうなんだろう?
他のプロ達は?
こんな無様な釣りをしてるのは俺だけなんじゃないだろうか?
などと、要らない想像が輝幸の頭の中を支配し始めていた・・・・
NO-FISH・過去記事
連載小説 ”NO-FISH”|
1:第一章 プロローグ|
2:|
3:第二章 デビュー|
4:|
5:|
6:|
7:|
8:|
9:|
10:|
11:|
12:|
13:|
14:|
15:第三章 ミラクルバシング|
16:|
17:第四章 ライトゲーム|
18:|
19:|
20:|
21:|
22:|
23:|
24:|
25:|
26:|
27:|
28:|
29:|
30:|
31:第五章 ハイテク バシング|
32:|
33:|
34:|
35:|
36:第六章 リトルアングラー|
37:|
38:|
39:第七章 老人|
40:|
41:|
42:|
43:第八章 迷い・・・・|
44:|
45:|
46:|
47:|
48:|
49:|
50:|
51:第九章 フロック?|
52:|
53:|
54:|
55:|
56:|
57:|
58:|
59:|
60:|
61:|
62:|
63:|
64:|
65:第十章 最後の決戦|
66:|
67:|
68:|
69:十章 第二節 プレッシャー|
70:|
71:|
72:|
73:|
74:|
75:|
76:|
77:|
78:|
79:|
80:|
81:十章 第三節 懐かしいパワー|
82:|
83:|
84:|
85:十章 第四節 スーパーランカー|
86:|
87:|
88:|
89:|
90:|
91:|
92:|
93:|
94:|
95:最終章 ノーフィッシュ|
96:|
97:|
98:最終話|
99:あとがき|
NO-FISH