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元のパドルテールに戻そうか・・・・・
と思い始めていた。
やはり、小さくても釣れているパターンに・・・・
と、少し弱気になりかけていた・・・・

その時・・・・

・・・・・・コツン・・・・・・

ほんの小さな反応があった・・・!

このグラブに喰いついているのだから、今までよりは
デカいバスに違いない。
慎重にラインを少し張り気味にして、喰い気を誘う。

今度はスィープフッキングではなく、ピシッとジャストフッキングしてやった。

ググっとバスの重みがロッドに加わる。

「ビンゴっ!」

久しぶりに聞かれるそのセリフに、同乗のプレスも
ぴりっと緊張する。

驚くようなサイズのバスではないようだ・・。
しかし、久し振りのキーパーサイズには間違いないようだ。
いつもより少しだけ慎重に・・・・
それでも、他のプロ達よりは遥かに大胆に取り込む。

計ってみると33cm・・・
やはり、そんなにデカい奴ではなかった・・・・

さて・・・このバス・・・・
輝幸の勝負は、勝ったわけではなかった。
運よくこいつが”釣れた”だけであった。
その証拠に、その後プッツリと反応は無くなってしまった・・・。

なにはともあれ、ようやくリミットを達成した時には
計量の10分前であった。
計量時間に遅れると、マイナス何gとペナルティを課せられてしまう。

すぐさまエレクトリックモーターを引き上げ、175馬力のエンジンに火を入れる!

先ほどまでの静寂が一気に破られ、野獣の咆哮に似た爆音が
湖面を駆け抜ける。
乱暴に回頭して、船首を沖合に向けた。
フルスロットル・・・・
船首を高々と持ち上げ、加速するスキーター。
計量所まで、全開だ・・・・。


2008年6月24日(火)

NO-FISH・過去記事
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