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みるみるうちにラインが巻き取られていく。
しかし、さすがに相手は50cmオーバーのランカーである。
幾度となく相当な力で抵抗を試みている。

その度に輝幸は・・「おっとっとぉ・・・」
と、その巧みなロッドアクションのみでかわしてしまう。

その間にもバスの体力は確実に奪われ
その抵抗の数は目に見えて減っていた。
相変わらず強引なリーリングを繰り返す輝幸にかかって
バスはドンドンとボート近くまで引き寄せられてきた。

あまりに簡単に寄って来たので少々気の抜けた感じであるが
同船のプレスには分かっていた・・・

大胆ではあるが、このランディングがいかに計算され
他のどんな慎重なランディングよりも神経を使い
そして、今後の釣りに有効であるかを・・・・。

いたずらに時間をかけすぎて周囲のバスに警戒心を持たせることを
輝幸は一番避けたかったのである。
そのあまりに大胆で無謀に思えるランディングは
慎重・大胆というレベルを超えた次元にあったのである。
事実、輝幸の額にはうっすらと汗が滲み、
余裕の表情とは裏腹に、その唇は白く渇いていた・・・。


2008年6月 2日(月)

NO-FISH・過去記事
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