輝幸は、もちろん昨日までのプラクティスで
今日のルアーパターンや、狙う場所は決めてあった。
霞ヶ浦特有のマンメイドストラクチャー(人工の障害物)狙いは
他のバスプロ達が一番に目をつけ、そしてある程度の実績もあったが
フィッシングプレッシャーは相当高かった。
しかしバスプロの、しかもトッププロの実力をもってすれば
それなりの釣果が期待できる場所であった。
いわゆる、”リミットを確実に揃えるスローな釣り”になるのである。
確実に入賞を狙いリミットを揃え、中に一匹でも大物が混じれば
上位入賞、また優勝の可能性も見えてくる・・・・
といった、トーナメント用の釣り方になるのである。
やはり、第一人者である磯村も、エリと呼ばれる漁師が
小魚を捕獲するために仕掛けた罠の周りからチェックし始めている様子だった。
しかし輝幸はマンメイドストラクチャーには見向きもしなかった・・・。
5月の活性が高いサスペンドバス・・・
しかも大物・・・ランカーだけにこだわる勝負に出ていた。
トーナメント第一戦ということもあって、そんな危険な賭けに出るバスプロなど
一人もいなかったが輝幸は、最新の水温検出器を駆使して
わずかな水温差をとらえ、そのラインにサスペンド(浮遊状態)している
ビッグバスのみを狙っているのである。
水温の比較的安定しているディープウォーターの中に
湧水が沸いているポイントなどをハイテクで探し出して
得意のクランクベイトでランカーをゲットしていく作戦である。
同船のプレスは”そんな釣りは無茶だ・・・・第一、そんなにピンポイントの
ストラクチャーなんて探し出せっこない・・・・
最初は堅くポイントを取ることだ・・・”
と、マンメイドストラクチャー狙いを何度もすすめたが
全く受け入れられず、しまいにはあきらめてしまった・・・。
10分程フルスロットルで走ったあと、ある何もない所で
輝幸は突然エンジンを止めた。
辺りにはストラクチャーやポイントらしきものは何もない。
もちろん他のバスプロの姿も全くなかった・・・・。
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連載小説 ”NO-FISH”|
1:第一章 プロローグ|
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3:第二章 デビュー|
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15:第三章 ミラクルバシング|
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17:第四章 ライトゲーム|
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31:第五章 ハイテク バシング|
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36:第六章 リトルアングラー|
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39:第七章 老人|
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43:第八章 迷い・・・・|
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51:第九章 フロック?|
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65:第十章 最後の決戦|
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69:十章 第二節 プレッシャー|
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81:十章 第三節 懐かしいパワー|
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85:十章 第四節 スーパーランカー|
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98:最終話|
99:あとがき|
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