バーテンダーという職業は、サービス業の頂点だと
僕は思っている。
僕も何年かバーテンダーをやった経験があるが
これほどお客様とのやり取りを楽しめる・・というか
奥が深い職業はない・・・と思っている(私見です)
その日のお客様の体調や、様子を見て
カクテルのレシピを調節する。
お客様から、お任せ・・・のオーダーをいただくと
その日のお客様の気分やシチュエーションにあわせて
もっとも輝くカクテルを手際よくお作りする。
お客様に近づきすぎず、離れすぎず・・・・
最適な距離感を最重要とする。
そんな、バーテンダーがいる場所はもちろんBARなんだけど
この日ばかりは違う。
NBA(日本バーテンダー協会)のコンペティションの日だ。
通常バーテンダーは、カウンター越しにお客様と
一対一で対峙するものだけど、この日は特設会場に
多くの観客を招き、その前で日ごろ鍛えた腕前を
ルールに従って披露し、その技量を競い合う
勝負の時だ。
白いバーテンダー服に身を包んだ精鋭たちが
3人づつ壇上に立ち、得意のカクテルを正確無比な
オペレーションで作っていく。
その味はもちろんだが、所作や雰囲気なんかも
審査対象だ。
馴染みのバーテンダー達が、あきらかにいつもと違う
雰囲気のなか、自分の技量と想いを込めて
懸命にシェーカーを振る。
ここは、いつもの自分の店ではない。
会話も、煙草のけむりも、BGMもない。
そんな、張りつめた空気のなか・・・
シェーカーを振る湿ったような乾いたような音が響く。
自分の仕事に点数や順番や優劣を付けられるのは
きっと、辛いことなんだろうと思う。
でも、自分の技量を向上させる為に、バーテンダー達は
このコンペに挑む。
決められた動きのなか、いかに個性やオーラを出すか!
バーテンダーというより、ひとりの職人として意地の
ぶつかり合いだ。
バーテンダー・・・・・・
お客様に満足してもらえるバーテンダーは技量もさることながら
やはり、会話重要なんだと思うけど
やはり、その会話もこういう技術の上に成り立ってるんだろうな・・・・。